原子力施設と小児がん(英国セラフィールド)

イギリスの湖水地方にセラフィールド核燃料再処理工場があります。
湖水地方はピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターが愛した地域でとても美しいところです。

全国平均より2〜15倍高い小児がん発生率
1983年にイギリスの地元テレビ局の番組でセラフィールド再処理工場近くの地域の子どもたちの小児がんや白血病の発生率は、イギリスの全国平均よりかなり高いと報道されました(2.4キロ離れたシースケール町では10倍)。*9&10

原子力施設で働く被ばく労働者の父親と小児白血病の子どもの関係
2002年には国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べ、白血病、リンパ腫など血液の癌の発生率が2倍近く高く、工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあり発表されました。
1990年にはマーティン・ガードナー教授(元サザンプトン大の疫学学者、故人)が、「母親の妊娠前に父親がセラフィールド工場で働き放射線被ばくを受けていたことが、子どもたちの白血病および非ホジキン性リンパ腫のリスク因子である」という仮説を発表しています。*11&12

原発周辺地域の子どもの小児がんの危険性を認めたドイツ政府
セラフィールド周辺地域で小児癌の発生率が高いのは紛れもない事実ですが、イギリス政府は、セラフィールド再処理工場との因果関係を認めていません。*13&14
しかし、2007年にドイツ政府が原発周辺地域に住む子どもと小児がんの危険性を認めています。*15&16

英国セラフィールドと日本
セラフィールド再処理工場は日本とは深い関わりがあります。
セラフィールド再処理工場では、浜岡原発など日本の原発の使用済み核燃料を加工しています。*1 今年の9月にはセラフィールドで加工した高レベル放射性廃棄物のガラス固化体76本が青森県六ヶ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに搬入されます。*2
また日本の電力会社との間では、使用済み燃料の再利用とMOX燃料製造に関する合意もありました。しかし、福島第一原発事故の影響で日本のプルサーマル計画が不透明になったことが理由で、MOX燃料工場の閉鎖を2011年8月3日に工場を所有するイギリス政府の外郭団体「原子力廃止措置機関 NDA:Nuclear Decommissioning Authority」が発表しました。*3-8

用語について
プルサーマル:ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料:Mixed (Uranium and Plutonium) Oxide Fuel) を従来のウラン燃料と同様に軽水炉 で利用すること。プルトニウムを軽水炉などの熱中性子炉(thermal reactor)の燃料に利用することからこの言い方が使われている。*17
ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料 [MOX燃料:Mixed (Uranium and Plutonium) Oxide Fuel]:二酸化ウラン(UO2) と二酸化プルトニウム(PuO2)を混合・焼結して作った核燃料。融点が高く、化学的に安定であるが、熱伝導度が小さく、増殖比が小さいなどの特徴がある。この燃料は高速増殖炉 の燃料として用いられているが、軽水炉 での利用(プルサーマル )もフランスなどで行われており、日本でも計画されている。*18
*1:YOMIURI ONLINE 基礎からわかる東海大地震 海外への影響は…MOX輸出、英が懸念
*2:YOMIURI ONLINE 【六ヶ所】高レベル廃棄物、9月頃に搬入
*3:NDA Nuclear Decommissioning Authority, NDA Statement on future of the Sellafield Mox Plant 03 August 2011
*4:Sellafield Ltd, SMP closure 3rd August 2011
*5:47News 英のMOX工場が閉鎖へ 福島原発事故の影響 2011/08/04
*6:DOSHINどうしんウェブ北海道新聞 北電のプルサーマル計画に影響か 英国のMOX燃料工場が閉鎖(2011/08/04)
*7:asahi.com MOX燃料工場を閉鎖=福島原発事故の影響で―英2011年8月4日
*8:asahi.com 英のMOX燃料工場閉鎖へ 日本のプルサーマル不透明で 2011年8月3日
*9:財団法人高度情報科学技術研究機構、英国における原子力施設周辺の小児白血病 (09-03-01-01)
*10:財団法人高度情報科学技術研究機構、セラフィールド再処理工場をめぐる動き (14-05-01-09)
*11:BBC NEWS Sellafield ‘increases cancer risk’ Wednesday, 19 June 2022
*12:原子力資料情報室(CNIC)、セラフィールド再処理工場周辺の小児白血病リスクの増加 父親の放射線被曝労働の影響を再確認、原子力資料情報室通信339号(2002/8/30)より
*13:BBC NEWS Child cancers ‘not caused by Sellafield’Thursday, 15 August, 2002,
*14:guardian.co.uk、UK nuclear power plants cleared of causing leukaemia 6 May 2011
*15:市民エネルギー研究所、南ドイツ新聞 原発周辺のガンの危険性、安藤 多恵子/市民エネルギー研究所、(翻訳協力)田代 和温「地球号の危機ニュースレター」No.331(2008年1月)掲載
*16:原子力資料情報室(CNIC)、原子力発電所周辺で小児白血病が高率で発症―ドイツ・連邦放射線防護庁の疫学調査報告―『原子力資料情報室通信』405号(2008/3/1)より
*17:原子力安全・保安院、 用語集 、原子力防災用語集、プルサーマル0854
*18:原子力安全・保安院、 用語集 、原子力防災用語集、0066、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料 [MOX燃料:Mixed (Uranium and Plutonium) Oxide Fuel]

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カテゴリー: 原発の安全と危険, 放射能、放射線、放射性物質, 浜岡原発, 海外の原子力施設, 被ばく労働者   パーマリンク

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