外務省が、東日本大震災の復興支援で170億円を、2011年第三次補正予算案の要求項目として、民主党に提出しました。報道によると、その内の50億円は、政府開発援助(ODA)の一環として、岩手、宮城、福島3県を中心とする被災地の農水産物の加工品や医療機器などの工業製品を発展途上国に提供する事業費です。
途上国に提供する農産物は、産地を明記し、放射性物質の検査証明書を添付し、受け入れを表明された国に、日本が提供するODA資金で購入してもらいます。福島第一原発事故を受けた東北への風評被害の解消に繋げたいとしているとも、報道されています。*1&*2
本件について、外務省に電話で確認してみました。
外務省の国際協力局開発協力総括課の職員の方が、以下のことをご説明して下さいました(お忙しい中、ご説明下さりありがとうございました)。
・農水産物は、ツナ、サバ缶などの水産加工品を検討しており、放射線量は日本の暫定基準値以下と確認したものを提供する
・工業用品は医療機器などを検討しているが、放射線量を計測するかどうかは検討中
・相手国側の要請によって提供する
・どこの国に提供するかはまだ決まっていない
・農水産物の配布方法は現在検討中
・10月に予定されている臨時国会で討議され、その後実施されるかどうかが決定される
食材に含まれる放射性物質の基準値は、国によって違います。*3、4&5 また、日本の暫定基準値に対し警告を発する専門家もいます。*6 実際、福島第一原発事故以降、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、南米など多くの国が、放射能汚染を心配し、日本からの食材の輸入を制限または禁止しています。*7
日本国内でも、福島産の農水産物から暫定基準値以上の放射性物質が検出されたことで出荷停止や制限がされ、また風評被害により福島産の農水産物の販売に影響が出ています。*8、9、10&11
福島第一原発事故の影響で売れないから、被災地の農水産物の加工品を途上国へ提供するのかなと思ってしまいました。放射性物質が含まれていないものを途上国に提供してもらいたと思います。
皆さんが、途上国の人だったら、この日本の援助をどう思いますか?
写真「アフリカのスラム」とこのブログ記事の内容とは関係ありません。
外務省HP、外務省国際協力政府開発援助ODAホームページ、民主党
*1:一般社団法人共同通信社 ODAに被災地産品 外務省、3次補正要求(2011年9月14日)
*2:YOMIURI ONLINE ODAに被災地産品購入枠、50億円新設へ 2011年9月19日03
*3:厚生労働省HP、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会資料(参考資料5)海外における食品中の放射性物質に関する指標
*4: 食品安全委員会、「放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A」、4 また、リスク管理措置(食品の規制値の設定)に関する参考として、コーデックス 委員会(※3)とEU(※4)の基準は以下のとおりです。p9-10
*5:World Health Organization 日本語版、水道水汚染について更新2011年3月31日(ジュネーブ時間)
*6:ブログ「武田邦彦(中部大学)、お米の500ベクレルとは?(平成23年8月4日 午前10時執筆、2011年8月7日)
*7:農林水産省HP、諸外国・地域の規制措置(9月27日現在)
経済産業省HP、諸外国・地域における放射線検査 実施状況等(鉱工業品分野)2011/9/21
*8:asahi.com 福島・いわき沖のコウナゴ、基準超えるセシウム検出 2011年4月9日
*9:msn 産経ニュース 給食で牛肉使用自粛 揺れる教委 保護者の不安解消か風評助長か…2011.8.21
*10:asahi.com 国、野生キノコの出荷停止指示 放射能汚染で福島の2町 2011年9月6日
*11:毎日jp 東日本大震災:地元農家とJA協力 いわき市、風評被害払拭へテレビCM製作/福島 2011年9月28日
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